私が考えるシナリオ

小倉さんのコメントからヒントを頂いたので(ありがとうございます)、私が考える青少年のためのフィルタリングのシナリオを書いてみます。

まず携帯会社と ISP は契約する親(とできれば子供)に以下のことを伝えることにする。

  • ネットを子供に使わせることには危険がある
  • もしも使わせる場合にはフィルタリングサービスに加入することを強く勧める

これを伝えるのは義務化してもいいと思う。この2点を伝えれば、ネットに関する難しい知識なしに、とりあえずフィルタリングの必要性は分かってもらえるだろう。

フィルタリングサービスについては前のエントリ*1ISP 間の競争に任せられると書いたが、小倉さんから親が適切に選べないのではないかという指摘をもらった。これについては以下のように考える。

まず、税金を使って官製のフィルタリングサービスをひとつ立ち上げる。その時点で他にフィルタリングサービスがあろうとなかろうと、うまく選べないと思った親は国のサービスをとりあえず利用することにすればよい。立法で規制しようと言うくらいの重要な問題なのだから、人と金を注ぎ込めるはず。そうすれば短期間(1年以内くらいか)でサービスが立ち上がるだろう*2。私も協力したいな。立ち上げの期間は実験的サービスということで無料でサービスを提供する。フィルタリングに関するプロトコルを標準化し、ソフトウェアはオープンソースとして開発する。

うまく立ち上がったらサービスを有料化する。標準プロトコルと公開ソフトウェアを利用して、他のフィルタリングサービスが立ち上がってくるだろう。立ち上がってこなければ官製サービスを継続すればよい。いくつか立ち上がってきたら官製サービスを民営化する。

前のエントリでは ISPフィルタリングサービスを提供するという風に書いたけど、技術的には ISP でなくてもフィルタリングサービスを提供するのは容易だ。ウェブプロキシとして指定してもらうとか、フィルタリングソフトを PC に入れてとか、いろいろなやり方がある。

複数のフィルタリングサービスが立ち上がれば市場原理が働きはじめるだろう。そうなれば親はネットに関する技術的な知識がなくても、普通の商品を選ぶときのように評判や会社の信頼度などからサービスを選択できるようになるだろう。

残る問題は、そもそも有効なフィルタリングサービスを構築・維持できるのかということ(法案はこれができることを前提としているし、私もできると思っている)。特に、「自分のサイトは有害である」という申告を義務化せずに有害サイトをフィルタリングできるか。私は、これができるシステムは十分に構築可能だと考えているが、もしもできなければ、出会い系や SNS掲示板などについては届け出を義務づけてもいいかも知れない。有害だからではなく、ネットを介して不特定多数と接触を持てる場として。これら以外のいわゆる「有害情報」のサイトは、テキスト解析で自動的にフィルタリングできる可能性が高い。

このシナリオなら、ネットの活動を萎縮させず、表現の自由の侵害の恐れもなしに、青少年を守るフィルタリングがうまく実現できると思うけど、どうでしょうか。見落としなどがあったら指摘してくれるとうれしいです。

官製フィルタリングサービスの話がなくても、これから数か月かけてシステムを開発して実験してみたいと思っています。だから立法はちょっと待ってほしいなぁ。

*1:だんだんわかってきた - DMZ: 非武装地帯

*2:ここにタイムラグがあるが、法案もフィルタリングサービスの存在を前提としているので、この期間があくのは同じ。