人権擁護法案と児ポ法の類似性

児ポ法の第1条を見てて気づいた。人権擁護法案と話の持っていき方が似てる。

法務省

第二条 この法律において「人権侵害」とは、不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいう。

よく知られている通り、人権擁護法案の大きな問題は、「不当な差別」が明確に定義されてないことだ。かなり多くの人が「差別はどのようなものでも人権侵害だ」と思い込んでいるようだが、この法案で「不当な」とわざわざついていることが示すように、実はそれは単なる思い込みだ。しかしそれが立法者の思惑で、「差別は人権侵害だ」と思わせておいた方が得なのである。処罰対象を広くできるから。

児ポ法の目的の条文にこう書いてある。

法務省

第一条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利の擁護に資することを目的とする。

よく読むと、こうなっている。「児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害する」。性的搾取が、権利を侵害する。あるいは、性的虐待が、権利を侵害する。

ところが、たぶん多くの人は「性的搾取そのものが人権侵害だ」と思っているんじゃないだろうか。もちろん立法者にとってはその方が都合がいい。

児ポ法第二条3の三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの

この条文の前半は、単に「児童の姿態であって」と言っているに等しい(衣服を全部着けた状態が定義されていないから、任意の状態が「一部を着けない」状態と解釈できる)。ということは、後半の「性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの」を例えば頒布することが児童の人権侵害である、ということだ。

さて、そのような権利、つまり「性的に搾取されない権利」を児童は持っているのだろうか。もし持っているなら、児童でない人もその権利を持っているのだろうか。そもそも、「性的に搾取する」とはどういう意味なのか。服は着ているけどエロいポーズをしている写真を配布されることは、肖像権の侵害以外に、どのような権利の侵害なのだろうか。

これらの法(案)は、憲法などに規定されている、既にある人権を守るためのものではないような気がする。人権擁護法案は「私人に差別されない権利」を既成事実として作ろうとし、児ポ法は「性的に搾取されない権利のようなもの」という観念をまず正当化し、それを権利に仕立て上げていこうとしているのではないか。そしてその結果は、自由権の制限すなわち処罰範囲の拡大。

もちょっと観察しないとな。

児ポ法に関して言えば、既に処罰範囲はとても広い。児ポ画像の「拡散」が問題なら、多数へのチャネルがどこかにあるはずだ。それを突き止められないのは警察の怠慢じゃないのか。サボってて拡散を理由に単純所持を禁止し、拡散に貢献していない一般人を死に追いやるような組織なら、税金を渡す理由はない。

児童ポルノ所持罪と「自殺」の関係性:http://hiryoyasyohyou.ameblo.jp/hiryoyasyohyou/entry-10075227078.html

なぜ世の中で「警察がサボってるから」って話にならんのだろう。不思議。