単純所持の処罰は危険ではないか?

児ポ法、正式名称を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO052.html

これを改正して、単純所持を罰しようという動きがある。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080224ddm001010050000c.html

刑法では、ほんのわずかの例外を除いて、「行為」を処罰する。それに対して単純所持は「状態」だ。

犯罪「行為」ならば、その行為が悪いことであり、それでもそれを意志の力で行なったから処罰されるのだ、ということが分かりやすい。逆に言えば、意志の力でそれをやらないでおける(と期待されている)ということだ。

しかし、犯罪「状態」は、行為を前提としない。誰か他人が自分のパソコンに児童ポルノ画像を入れても、状態としては犯罪になる。自分に悪意があるかどうかに関わらず。あるいは昔のハードディスクに何かのはずみでたまたまそういう画像が入ったとしても、やはり犯罪の状態である。

ほんのわずかの例外である銃砲刀剣は、知らないうちに手元にある、ということはまずない。麻薬も同じ。世の中にある量も極めて限られている。それに比べて、児童ポルノ画像などは電子的にでも紙でもいくらでも複製ができる。いくらでもどこにでも置くことができる。

つまり、簡単に人を陥れることができるし、自分が罪を犯している状態にないかいつも心配しなければならないということだ。(犯罪「行為」なら、それをやらなければいいのだから完全に自分の責任で安心していられる。)

そして行為でなく状態が対象なら、何をしたか、しないかに関係なく、状態を調べるための捜査や、状態を疑っての逮捕がいつでもできるということだ。警察権が強化されすぎないか。プライバシー権が侵害されすぎないか。

児童ポルノによる子供の人権侵害や、ネットでの拡散は止めなければいけない。だが、単純所持の処罰は、良識ある一般市民の権利を侵害しすぎるように思うのだが…