競争原理、権限の強化…よく聞く話だ

教育再生会議が、小中学校の校長の権限を強化し、それとともに教員の流動性を高めて競争を導入するという提案をしようとしているようだ。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071113i201.htm

形としては大学の流れと一緒だが、これはうまくいくんだろうか。

大学なら、よい研究や教育に対しては補助金だの志望者増だのの見返りがあるから競争原理が働く。けれど、魅力ある小中学校作りをした校長に対する見返りはなんだろう。希望を出して転勤した、能力のある教師に対する見返りはなんだろう。それがないなら、これは単なる精神論であって、精神論でいいならば全ての校長と全ての教師は生徒のために全力を尽くせ、で話がすむのでは。

なんか、是非以前に、何の意味もない仕組みを作ろうとしているんじゃないかと思えてくる。

一応是非を論じておくと。

今の小中学校の公教育は地域にくっついていて、生徒は(公立の小中学校に行くならば)事実上学校を自由に選べない。そこに学校間格差、教育の格差を導入することは不公平であって、公立の義務教育でやるべきでない。

些細な「差別発言」を叩く人々は多いのに(いや、マスコミは叩くのに、か)、こんな実質的な不平等を伝えるニュースに平気でいられるのはとっても不思議だ。人権という言葉に対して脊髄反射しかしていないのかな。

ま、そもそも、大学でもうまくいってないと私は思うんだけどね。競争が導入されたおかげで、社会や学生のことなんて二の次で、自分の生き残りのことしか考えなくなった大学が多いと思う。結果は数十年しないと分からないだろうが。

何でも競争にしたがる世の中だけど、競争原理が万能なら、アダム・スミスから200年以上も経ってるんだから、今ごろ世界中みんなが幸せになってそうなものだ。